赤羽 博行AKAHANE Hiroyuki
代表取締役社長 CEO

Interview

世の中のモデルケースになるべく、エンジニアをきちんと評価していきたい

赤羽 博行

株式会社あしたのチーム 代表取締役社長 CEO

1974年、千葉県松戸市生まれ。

大学卒業後、株式会社オービックビジネスコンサルタントにて財務・管理会計を中心に基幹系システムの開発、ソリューション提案、導入コンサルティングを担当。その後、スカイライトコンサルティング株式会社に入社。

ディレクターとして最大規模のビジネスユニット責任者を担当し、業務/システムのコンサルティング、ベンチャー企業の立ち上げ、新規事業の立ち上げ、事業計画策定、戦略策定など上流フェーズまで多岐に渡る多くのコンサルティング実績をもつ。

あしたのチームには、設立直後の2009年から社外取締役として参画。2014年4月より常勤取締役、2016年4月より取締役管理本部長、2017年4月より取締役経営企画本部長、2019年12月より取締役経営管理本部長、2020年6月より取締役営業統括本部長兼首都圏営業本部長、2020年11月より代表取締役社長CEOに就任。

やる気を持って働く人たちをたくさん輩出していきたい

─エンジニアとして働いたあと、コンサル会社に転職していますが、どういった理由からなのでしょうか。

赤羽
新卒で株式会社オービックビジネスコンサルタントというパッケージソフトウェアの会社に入社してエンジニアとして5年半くらいソフトウェアを作っていました。とても楽しかったのですが、私よりも優秀なエンジニアがたくさんいたことと、作る楽しみを感じつつも、もうすこし上流工程で世の中の課題解決にあたりたいと思い、コンサルティングファームに転職を決めました。

─何年間くらいコンサルをしていたのでしょうか。

赤羽
12年間ですね。コンサルの仕事では大手のナショナルカンパニーと仕事をすることが多かったです。そこで感じたのは、どんなに大手企業で優秀な社員がいたとしても、人のパフォーマンスは人事制度によって大きく左右されることです。やる気に満ち溢れた優秀な社員がせっかく入社しても、人事制度が年功序列だったりと、頑張っても頑張らなくても同じだと人は頑張らないのだということを12年間目の当たりにしてきました。そこで、世の中の人事制度をきちんと整備して、働くことにワクワクを感じて、やる気を持って働く人たちを世の中にたくさん輩出していきたいと思い、あしたのチームに参画しました。

─あしたのチームは「人」にフォーカスしている企業ですが、人に関わる領域の楽しさや面白味はどこにあると思いますか。

赤羽
実は大学時代に塾の講師や家庭教師を4年間やっていました。その中で、人間の可能性は環境に大きく依存することを感じました。誰と一緒にいるか、どういう仕組みのなかで育ったのかなどによって、成長する、しないが変わるんですね。そういう経験を通して、人が成長する喜びをずっと感じていました。人の成長を感じたり、やる気を持って取り組んでいる姿をみることがすごく好きなんですよね。

マネジメントもできるエンジニアがこれからの時代必要

─現状は、エンジニアでマネジメントに興味を持つ人はあまり多くないと思います。ただ、今後のエンジニアのキャリアを考えると、マネジメントをできる人が一定数は必要ですよね。そのためにもマネジメントの面白さを伝える必要がありますが、赤羽さんならどのようにされますか?

赤羽
そうですね。コードをゴリゴリと書くことができる人、ピン芸人的なすごい人が格好いいと考えているエンジニアは多いですよね。でも、優秀な人たちを抱えて大きなことを成し遂げたいと考えているマネジメントサイドのエンジニアもいるんじゃないかと、私は思っています。これは仮説ですけどね。そういう人たちに向けて、エンジニアを束ねることも重要な役割で格好いい仕事なんだよ、ということを伝えていけば、担い手も増えてくると思いますね。

─あしたのチームとしても、どちらのタイプのエンジニアも欲しい感じでしょうか?

赤羽
私はそう思っています。やっぱりピン芸人だけの集団だと、どんなに優秀な人がいてもうまくいく気がしないんですよね。野球でいうと、四番バッターばかりの機能しないチームになりかねない。ホームランバッターもいればヒットを打つ人、バントができる人がいて、それぞれが役割を果たし、お互いがリスペクトしあって支え合うチームは強いですよね。そのチームが機能するように、指揮をとる人も大事です。その指揮をとるエンジニアもいて欲しい。それぞれの目指すエンジニア像や役割が違っていていいと思いますし、そういう多様な人たちが集まってくる、そんなエンジニアチームができるといいですね。

─あしたのチームは営業が強いイメージがあるのですが、ビジネスサイドとエンジニアをつなぐ施策はありますか?

赤羽
私自身はどちらも経験していますが、実際、多くの会社でビジネスサイドとエンジニアの仲は良くないですよね。その理由は、お互いを知らないからだと思います。お互いがそれぞれの仕事を経験するのは難しいですから。
赤羽
実は私がエンジニアをやっていたのは25年前くらいなので、今とは開発の仕方が全然違います。そこで、去年の年末くらいに、スクラム開発のやりかたの講習を受けたんです。そこで、目から鱗が落ちたというか、新しい考え方をちゃんと取り入れていかないといけない、先入観でものごとを見ていては駄目だなと気付かされました。
赤羽
ただでさえ忙しいのに、お互いを理解するための時間を取るのはなかなか難しいのが現状です。でも、こうやっていいものが作られていくんだ、ということを全員が認識できるようにしたいですね。スクラムを含めて、プロダクト開発の進め方を全社員が知っている状態を目指したい。私はエンジニアだったこともあるので、エンジニアに対するリスペクトもあり、無茶な営業を抑える役割を果たすことはできます。でも、私が言って抑えるのではなく、ビジネスサイドの皆が開発の仕方を知れば、もっと生産的なやり取りをできるようになり、会社はもっと強くなると思っています。

エンジニアのための人事評価制度の整備

─あしたのチームにはハイスキルなエンジニアが多い印象です。評価面や年収面についてどのようにお考えですか。

赤羽
まず、エンジニアのための評価制度をちゃんと作って評価してあげたいと思っています。今まではエンジニア向けの人事評価制度ではなく、ビジネスサイドのフレームワークをエンジニアに適用していたんですよね。エンジニアのみなさんはその仕組みに対してあまり納得していない空気感がありました。そのため、みんなが納得できる人事評価制度を作ろうとしています。私は、エンジニア同士はお互いの実力値や貢献度合いを把握していると思うので、お互いが評価し合う仕組みで作り直せないか、と思っています。

─エンジニアの年収はどんどん上がっていますが、どのように感じていますか。

赤羽
エンジニアは希少価値が高いというか替えがきかないものなので、エンジニアの年収が上がっていくのは当たり前だと思っています。もちろん全員パフォーマンスが違うのに同じ年収であってはならないです。その辺を人事評価制度で評価して年収が上がるような仕組みにしていきたいです。

地方創生に寄与しつつ、既存の人事制度を変えていきたい

─あしたのチームは、地方の中小企業など地方創生と相性がいいように思いますが、そこは意識しているのでしょうか。

赤羽
一時期、全国の中小企業のために全国展開もしていましたし、地方創生的な意識はありました。ただ、当時は人事制度がない会社が多かったので、それを整備するだけでも一定の効果が得られる状況でした。そこで事業を全国に広げたんですが、地方の中小企業にそういう会社が多かったので、結果として地方創生につながったということですね。元々の目的ではありませんでした。
赤羽
今、あらためて思うのは、こういう仕組みを入れるだけで一気に業績が変わる効果、会社をよくできる効果があるということですね。そのため、引き続き、既存事業のターゲットは全国の中小企業です。まだ仕組みがない優良企業は全国にたくさんあります。まずはそういったところを支えることですね。
赤羽
でも狙いの本丸は、人事制度はあるものの、うまくいっていない会社です。働く側の社員が満足している仕組みって、世の中にほとんどないと思うんですよね。だから、本当はそちらを変えていく必要があります。そして、地方創生や中小のためのサービスというイメージを払拭していきたいですね。

─データのトランザクションもかなり量が増えてきているそうですね。

赤羽
そうですね。さらにデータを使ってビジネスを広げられないか、水面下で進めています。溜まったデータを活かさないと意味がないと思っていて、やっとそれができる土壌が整いました。蓄積されたデータを使ってさらなる一手を考えていきたいですね。データをコンサルに使うこともできますし、AIに利用することもできます。データサイエンティストにも参加してもらって、色々と画策しているところです。

─あしたのチームが今後目指すサービスやプロダクトを教えてください。

赤羽
より社会にインパクトを与えられることをしていきたいです。そして、労働集約をして人力ではなく、きちんとテックを使って広げていきたいです。私はエンジニアとコンサルの両方を経験しているので、ITで世の中を変えることができる実感と期待を抱いています。一方で、ITだけでは解決できない部分もあります。そこをコンサルを使って変えていきたいと思っています。コンサルだけではなく、そこにレバレッジをかけてスケールさせていくためのIT。このかけあわせが我々が大事にしている強みです。コンサルだけだと、ただの労働集約になってしまう。いかにITでレバレッジをかけられるのかが肝になります。そこで、今、新しいプロダクトを製作中で、こちらはかなりのステージに進んでいます。さらにそれとは別にもう一個、新しいプロダクトを構想中です。色々なITを駆使しながら、あしたのチームのビジョンである「誰もが”ワクワク”働ける世界を創る」ためのサービス、びっくりするようなプロダクトを世の中に打ち出していきたいと思っています。